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睡眠不足が高めるアルツハイマー病型認知症のリスク

睡眠不足が高めるアルツハイマー病型認知症のリスク

4人に1人が65歳以上という高齢化社会を迎えた日本。
それに伴って、年齢を重ねることで起こる心身の衰えや機能の低下に注目が集まっています。

そうした症状の1つがアルツハイマー病です。
かかる人が多くなると、研究はどんどん進みますが、いまだに治療法は見つかっていません。
ところが、原因については、老化ばかりではないことがわかってきました。

実はアルツハイマー型認知症の発症には、睡眠との深いかかわりがあったのです。

睡眠不足もアルツハイマー型認知症の原因に

睡眠時間を削って仕事や勉強に励んだり、どうしてもというときは徹夜で頑張ったり、睡眠不足のまま日常を過ごすことは、よくあります。
しかし、睡眠不足が続くとぼーっとして、明らかに思考力が落ちたり、記憶力があやしくなったりする経験は、年齢を問わずあるのではないでしょうか。

こうした経験と照らし合わせてみても睡眠不足は、脳の働きに影響があるというのがわかります。
実際、睡眠不足が慢性化することで将来、アルツハイマー型認知症を発症するリスクが増えることが分かったのです。

睡眠中の脳の働きとは?

睡眠中、脳はいったいどんなことを行っているのでしょうか?
またどんな働きに睡眠不足が影響するのでしょうか?

睡眠中の脳の働きを確認してみましょう。

レム睡眠・ノンレム睡眠中の脳の働き

脳は体重の5%ほどの比重ですが、基礎代謝は20%もあって、とても燃費の悪い臓器です。
そのため、睡眠は脳を休ませることも目的の1つになっています。

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、2つは交互に訪れます。
それぞれに役割があって、脳を休ませるのはノンレム睡眠と言われています。

それぞれの種類の睡眠は、前半は深く、後半は浅くなるほか、長さも前半と後半で変化があります。
そうした変化に応じて脳内では様々なことが行われています。

例えば、身体を休めるレム睡眠のときに脳は、その日に起きた出来事を整理して記憶したり、不要なものに分けたりします。

また、深いノンレム睡眠のときには「いやな記憶を消去」したり、浅いレム睡眠のときには「記憶の定着」や「結合」を行います。

ノンレム睡眠・レム睡眠について

たっぷり睡眠が取れていると、脳内の情報の整理が十分にできるため、記憶としてもしっかりと定着します。
情報の整理がきちんとできていることで起きている間の思考もクリアなものになるのです。

逆に睡眠不足になると、こうした働きのための時間が十分にとれません。
その影響で記憶力が低下したり、思考力が鈍ったりするのです。

脳は老廃物を寝ている間にお掃除

昼間、脳が働くと老廃物が溜まります。
その1つにアミロイドβというたんぱく質があります。
これは普段は睡眠中に排出され、処理されています。

ところが、睡眠不足になると老廃物を排出する時間が足りません。
昼間増えたアミロイドβを排出するためには、6時間半以上の睡眠が必要と言われています。

また、年齢を重ねると睡眠ホルモンの1つであるメラトニンの分泌が減ってしまい、眠りが浅くなります。
そうなるとよけいにアミロイドβは溜まりやすくなるのです。

年齢を重ねて睡眠障害になったり、睡眠不足になったりすると、体内で作られる量と、夜排出される量の均衡が崩れ、アミロイドβがどんどん溜まっていくことになります。

アミロイドβが起こすアルツハイマー型認知症

なぜアミロイドβに注目するかというと、アミロイドβが脳にたまると、脳の神経細胞を破壊することで減らしてしまい、その結果、アルツハイマー型認知症を発症することがわかったからです。

睡眠不足によってアミロイドβがどんどん溜まるといつか臨界点を迎えます。
そこでアルツハイマー型認知症を発症するのです。

このアミロイドβは、アルツハイマー型認知症を発症する25年前から溜まり始めると言われています。
ゆっくりと溜まり続けて臨界点にたどり着くのです。

もちろん、アルツハイマー型認知症発症の引き金はアミロイドβだけではありません。
発症の15年前からはタウと呼ばれるたんぱく質の一種が脳に沈着しはじめ、その後、海馬をはじめとする脳全体が委縮して機能的な衰えが起こります。

実は、アルツハイマー型認知症発症の原因の1つ、アミロイドβは、もうすでに溜まり始めているかもしれないというわけです。

アルツハイマー型認知症とは?

認知症というのは、記憶力、判断力、言語力、計画遂行能力など、さまざまな脳の認知機能が低下し、それまで獲得してきた知識や技術などが失われて日常生活に支障をきたす症状の総称です。

いわゆるアルツハイマー病と呼ばれるアルツハイマー型認知症も、そうした認知症の一種です。
脳の神経細胞を破壊するので、発症後は治ることはありません。

アルツハイマー型認知症の発症は、いつの間にかという具合が多く、進行もゆっくりですが、発症前期の記憶力低下は顕著なので、本人は自覚していることが多いようです。

睡眠不足を解消してアルツハイマーを予防

現在では、睡眠不足を解消することでそのリスクを下げることもわかりました。

毎日6時間半以上眠って、アミロイドβを日々、排出するのです。
また、国立精神神経医療センターでは、30分程度の昼寝を習慣にすると、アルツハイマー型認知症のリスクを5分の1にできるという研究成果を発表しています。

認知症だけじゃない!リスクが多い睡眠不足

睡眠不足は、アルツハイマー型認知症のリスクを高めるばかりではなく、そのほかにもいろいろな悪影響をもたらします。

アルツハイマー型認知症につながる記憶力の低下をはじめ、食べたい欲を刺激するホルモンが増え、満腹を感じるホルモンが低下することで食事のコントロールができなくなり、肥満になってしまったり、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高まります。

また、免疫力が低下したり、精神的に不安定になることもあります。
死亡率も高まるデータがありますので、睡眠不足はできるだけ避け、睡眠負債は早めに解消することをおすすめします。

睡眠不足の悪影響について

睡眠不足に何より効果的なのは、生活習慣を見直し、規則正しい生活をすることが大切です。

睡眠不足はアルツハイマーの原因?まとめ

睡眠不足は、アルツハイマー型認知症の原因になることがわかりました。
最後に原因と結果、その対処法をまとめておきます。

  • 脳は睡眠中に記憶の整理や消去、脳にたまった老廃物を排出する
  • 脳の働きは、睡眠の種類や時間帯によってそまざまある
  • 睡眠不足だと脳の老廃物であるアミロイドβの排出が不完全になる
  • 睡眠不足だとアミロイドβが脳内に溜まってしまい、脳神経が破壊される
  • アミロイドβはアルツハイマー型認知症の原因に1つであることがわかっている
  • アミロイドβはアルツハイマー型認知症を発症する25年前から溜まり始める
  • 睡眠不足を解消することはアルツハイマー型認知症のリスクを下げる予防策の1つになる