ページトップボタン

今話題の「睡眠負債」とはどんなもの?

今話題の「睡眠負債」とはどんなもの?

健康志向が高まり、食生活や運動についての意識が上がってきた昨今。
そのなかで見過ごされていたのが睡眠でした。

多忙な日本人は、睡眠時間を削ることで、時間を有効活用しようという考えの方が優先されていました。

ところが2017年に流行語大賞のトップテンにも入った睡眠負債という言葉が登場しました。
この言葉の意味するところは、睡眠が不足すると負債となって健康にリスクをもたらすこと。
睡眠と健康に深い関係があることについて、世間一般の意識をぐっと高めました。

今回は、話題のキーワード、「睡眠負債」とは何か?どの程度危険なのか?などについて、紐解いていきます。

今話題の「睡眠の借金」睡眠負債って何?

睡眠負債とは

一般的に誰もが7~8時間ほどの睡眠が必要といわれています。
しかし、毎日決まった時間に就寝して、朝はスッキリ目覚めているという人は、どの程度いるでしょうか?

ほとんどの人が睡眠不足を感じながら、目覚まし時計で無理やり起きて、眠い目をこすりながら仕事や学校へ出かけています。
誰もが睡眠不足を自覚しつつ、何とか毎日をやり過ごしているような状況です。

今や日本人の睡眠状況は、世界的に見ても、最悪といえる状態なのです。

睡眠負債は、こうした状況に警鐘を鳴らす言葉。

この言葉の意味とは、
「毎日の睡眠不足は借金のように負債として溜まり、返済して改善しない限り、健康に悪い影響を与える」
ということを世に知らしめたのです。

リスクがあるものは何でも予防するのが一番ですが、睡眠負債の場合、すでに負っている場合もあります。
そこで、予防法を含め、現状を改善する方法などを探っていきましょう。

睡眠負債が溜まるメカニズム

まずは睡眠負債が溜まるメカニズムを確認しておきましょう。

人にはそれぞれ適切な睡眠時間があります。
日本人の中にも、

  • 短時間の睡眠ですむショートスリーパー
  • 9時間以上の睡眠を必要とするロングスリーパー

といった特別な人もいますが、80~90%に当てはまるのが、平均的な睡眠時間が必要な人たち=バリュアブルスリーパーです。

この一般的なバリュアブルスリーパーの人に、推奨されている睡眠時間は8時間。
幅を見て、7~8時間が適当と考えられます。

しかし、忙しい現代社会、平日に7時間以上布団に入っている時間を作るのは至難の業。
平日の睡眠時間は6時間を切るという人が大半ではないでしょうか?

1日に7~8時間の睡眠が必要な人が毎日6時間未満の睡眠で生活すると、日々1~2時間の睡眠が不足することになります。
何とか起きられたから不足は“ない”ということではありませんし、寝足りない自覚がないから大丈夫というわけでもありません。

このように毎日睡眠不足が起こり、その不足分は、どんどん睡眠負債として溜まっているのです。

関連記事:ショートスリーパーとロングスリーパーの違いは何?

脳にダメージを与える睡眠負債

今、日本人の睡眠問題が大きく取り上げられ、昼寝の時間を導入する企業も少しずつ出てきました。
しかし、なぜ、このように睡眠が重要視されるようになったのでしょうか?

それは睡眠不足による「脳」へのダメージが甚大だからです。

そもそも睡眠は、身体と脳を休めるためにとるものです。
特に私たち人間は、大脳が発達したことで知能や知性が進化しました。

その結果、頭脳労働が生まれ、身体を動かすことはなくても大脳をフル活動させる仕事も生まれています。

睡眠は、こうした脳のメンテナンスを行うための時間。
脳を休ませるには、身体が必要とする睡眠以上に多くの時間の睡眠が必要と言われています。

睡眠不足は、脳のメンテナンスが十分に行えない状況で、睡眠負債はその状況が日々重なっている状態です。
メンテナンスが行き届かなければ、脳の働きも落ちてしまうのです。

睡眠負債が脳にもたらすダメージと計り知れないリスクについて詳細を確認してみましょう。

2時間の睡眠不足で脳は酩酊状態に

意外と睡眠不足の方が頭がスッキリする!体が軽い!なんてこと言ってる人いませんか?
残念ながら、それは感覚的なものであって、脳へのダメージは確実に出ていることが分かっています。

例えば、1日7時間の睡眠が必要な人が毎日5時間しか眠れないと、日々2時間睡眠不足分が溜まっていきます。

この生活が14日間続くと、弱度酩酊状態の血中アルコール濃度、いわゆる「ほろ酔い」状態と同じ脳の働きになるといった実験結果があります。

しかも、この時、自分の作業効率が落ちていることに気がつくのは最初だけ。
そのままの状態が続くことで慣れてしまい、作業効率が落ちても自覚がないままになってしまうのです。

また、作業効率が落ちたことで仕事が増えて残業が続き、そのせいで睡眠時間を削るといった、負のスパイラルにもつながります。

睡眠負債がもたらす脳へのダメージは、予想以上に大きいのです。
次は睡眠負債が、引き起こす症状について説明していきます。

睡眠負債が引き起こす症状

睡眠負債 症状

溜まった睡眠負債が起こす症状は、さまざまあります。
そうした症状の大半が脳へのダメージによるもの。

例えば、睡眠不足の時に、疲れが抜けないといった身体に起こる症状は、「睡眠時間が足りないから体が休めていない…」
そう考える人が大半だと思います。

しかし、実際には身体を休める時間が足りないというよりは、脳そのものが休めていないからというもの。
睡眠不足により、脳が休めないことで、脳があなたに休息を求めているシグナルなんです。

ただ、睡眠負債の怖さはそれだけではありません。
睡眠負債によって引き起こされる症状をご紹介します。

睡眠負債の症状①ホルモンバランスの変化に睡眠負債の症状

睡眠負債が溜まるとさまざまな症状が起こりますが、その1つがホルモンバランスの乱れです。
どのような種類のホルモンが睡眠負債によって乱れるかを確認しておきましょう。

美肌・美髪を作る成長ホルモン
睡眠負債を抱えると肌荒れなど、女性にとっては気になる症状が表れます。
これは、成長ホルモンや別名睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンが十分に分泌されないために起こる症状です。

成長ホルモンは、就寝後3時間の間に最も分泌されると言われているので、3時間以上眠れば大丈夫と思うかもしれません。
しかし、睡眠負債は睡眠と覚醒を司る体内時計の乱れも促します。

そうなると肌を修復する成長ホルモンや、肌の細胞を若返らせる働きのあるメラトニンなどの分泌が十分行われません。
睡眠負債は大切な美容についてもマイナスの症状をもたらすのです。

関連記事:睡眠不足は健康の大敵!成長ホルモンを十分に得る睡眠法

肥満も睡眠負債による症状の1つ
睡眠負債が重なると、食欲を抑えるレプチンというホルモンや、食欲を訴えるグレリンといったホルモンの分泌が乱れます。

具体的には、レプチンが減って、通称:太るホルモン「グレリン」が増えるのです。
つまり食欲はどんどん増えて、我慢することはできないということになるのです。

睡眠負債は肥満症状にも影響があるのです。

関連記事:睡眠不足って太るの?

睡眠負債の症状②免疫力低下から生活習慣病へ

睡眠負債は免疫力も低下させてしまいます。
体力自体も落ちてしまうので、当然といえば当然ですが、風邪やインフルエンザなども予防できず、発症しやすくなります。

実はこの免疫力も成長ホルモンが重要な役割を果たしています。
免疫物質を生成したり、古くなった細胞を作りかえたりしてくれるのです。

また、生活習慣病のリスクも高まります。

例えば、血圧は眠っている間に下がるものですが、睡眠負債によって眠る時間が不足していれば血圧が下がる時間がありません。
つまりは高血圧の原因ともなるのです。

高血圧は動脈硬化を引き起こす要因となり、心臓への負担も増やしてしまいます。

さらに睡眠負債は糖の消化に関わるインスリンの分泌にも影響を与えます。
インスリンが機能しないと糖尿病をひ引き起こし、さらには脳梗塞や狭心症といった合併症にもつながります。

睡眠負債は、さまざまな生活習慣病の症状の原因ともなっているのです。

関連記事:免疫力を上げるには睡眠が効果的!

睡眠負債の症状③うつ症状の原因にもなる睡眠負債

睡眠負債が増大するとメンタル面にも大きな影響があります。

睡眠は脳を整理する働きのなかでストレスも軽減させます。
しかし、睡眠負債が増えた状態では、ストレス症状がうまく解消できず、その結果としてうつ症状を発症する人もいます。

睡眠負債が増えることで、心身の健康を損ねる症状につながっていくのです。

いずれは破産してしまい、あなたの健康を損ねてしまう睡眠負債。
できるものなら重症化する前に、自分が睡眠負債だということを自覚し、返済していきたいものです。

そんな睡眠負債を自覚するには、どうしたらいいのでしょうか?

関連記事:睡眠不足はうつ病の原因になる?

睡眠負債による症状を自覚するには?

睡眠負債は負債を負っていても、1日中眠いといった強い自覚症状がない限り、気づかない場合も多くあり、改善に至ることは多くはありません。

そこで、まずは睡眠負債に自ら気づくために、睡眠負債に陥っている場合の目安となる症状を確認しましょう。

睡眠負債かも?その症状は?
私たちの身体に備わっている体内時計は、朝、太陽の光を浴びることでリセットされ、スタートします。
その4~5時間後は脳がフル回転する絶好の時間帯。

朝、7時に起きる人なら11時からお昼にかけて迎えます。
睡眠負債を負っていると、こういった時間帯にも眠気がおそってきます。

逆にこの時間は誰もが眠くなる時間帯というのも存在します。
それが、先ほど紹介した脳のピークの2時間後くらいの時間帯です。

ランチ後に眠くなるのは、食事を食べたせいではなく、体内時計がもたらすものだったのです。

その他、目安になる症状

  • 気がつくと寝落ちしている
    昼間のうたた寝には要注意。睡眠が不足しているか、睡眠の質が悪いため、脳が強制的に休憩を求めているせいかもしれません。
  • 休日は昼まで眠るのが当たり前
    平日の睡眠が足りていない場合、どこかで補おうとするのが自然の流れです。休日にどうしても起きられず、平日と休日の起床時間に2時間以上差がある場合は睡眠負債が溜まっている場合が多いようです。
  • 入眠までの時間が極端に短い
    布団に入ってから眠りにつくまで、普通10~30分はかかるものです。それが極端に短い場合は慢性的な睡眠不足が考えられます

こうした目安を覚えておいて、気になったときは自分の睡眠が足りているのかどうかチェックしましょう。

また、今現在、睡眠負債ではない方も、ゆくゆくは睡眠負債を抱える可能性があります。
睡眠負債の予防法はあるのでしょうか?

睡眠負債を予防するには

睡眠負債 予防

睡眠負債は、予防して増やさないことがもっとも大切です。
そんな睡眠負債を予防するための方法を、ご紹介します。

自覚がないまま溜まる睡眠負債

睡眠負債は、溜まっていてもまったく自覚がない場合もあります。
例えば、

  • 眠りにつきづらい
  • 途中覚醒がある
  • 極端に早い時間に目が覚める
  • 熟睡感がない

などの症状が出ていても、「いつも通り」だと思ってしまう人もいます。
こうなると睡眠負債を予防したり、返済して改善するのは、かなり難しいものです。

予防の手助けとなるのが、自分が本当に必要としている睡眠時間が何時間なのか、知っておくこと。
自覚がない睡眠負債を予防する唯一の方法といえそうです。

予防のために適切な睡眠時間を知る

人によって適切な睡眠時間には、幅があります。

それを知るには、夏休みやお正月休みといったちょっとした長期休暇を利用する必要があります。
もちろん時間を決めての外出の予定は入れずに、睡眠を最優先します。

方法は、目覚まし時計をかけずに部屋もカーテンなどを閉めて日が昇ってもできるだけ暗い状態を保つようにします。
その部屋で自然に目が覚める時間に起きるようにし、睡眠時間を記録しておきます。

日頃睡眠不足がある場合、最初の1~2日は、それを解消するために睡眠時間はとても長くなります。
それでも4~5日経つ頃には睡眠時間が落ち着いてきて、自分にとって必要な睡眠時間がわかるようになります。

自分に必要な睡眠時間を知っていると、普段どのくらい睡眠負債を負ったのか、日々わかるようになります。
自分にとって必要な睡眠時間知って、予防や改善に役立てましょう。

関連記事:あなたはどのタイプ?睡眠時間の個人差

睡眠負債を返済して改善

睡眠負債 改善

毎日眠くてたまらない、休日は必ず昼まで寝ているという場合は、すでに重度の睡眠負債を負っている状態です。
特に休日に寝だめをして睡眠負債を返済して解消しようとした場合、逆効果になっている場合があります。

睡眠負債の返済法は、こまめにちょこちょこが一番効果的です。

ブルーマンデーを呼ぶ休日の寝だめ

平日はいつも寝不足気味。
だから土曜日は、必ず昼まで眠るのが楽しみ。
そんな社会人も少なくありません。

しかし、休日の眠り方次第では、翌週の睡眠負債が増えてしまうかもしれないのです。

昼まで寝坊は危険

睡眠負債の返済法として、もっともやってはいけないのが昼までの朝寝坊と二度寝三度寝です。
お昼まで寝てしまうと、夜の睡眠に影響が出て、結局夜更かしをして、翌日の日曜日もまた朝寝坊を繰り返すことになってしまいます。

その結果、日曜の夜もまた遅くに寝ついて、月曜日を迎えることに…
月曜の朝は当然眠くて、睡眠負債を負っている状態となります。

睡眠負債を返済したつもりが、負債が増えている感覚は、まさにブルーマンデーです。
会社に行っても眠くて、仕事の効率は上がらず、残業を繰り返すことになります。

睡眠負債を一気に返済しようとするのは、むずかしいことなのです。

寝坊は2時間まで、昼寝も活用!

私たちの身体に備わっている体内時計は、朝、起きたときに光を浴びることでスイッチが入ります。
この体内時計のリズムを守ることが睡眠のリズムを守ることにつながり、睡眠負債を予防したり、返済するのに役立つのです。

そのためには、休日もいつもと同じ時間帯にスイッチを入れておく必要があります。
いつもの時間に起きるのは難しくても、寝坊は2時間までと決めましょう。

2時間までの寝坊なら、体内時計に悪い影響を与えることはありません。

光を浴びた後に朝食を食べれば、体内時計はしっかり働き始めます。
眠るのであれば、その後。

昼食後、15時までに起きられる時間帯で90分を目安に昼寝をします。
15時までに起きると決められているのは、15過ぎまで昼寝をしてしまうと夜の睡眠に影響が出て、寝つきが悪くなったり、途中覚醒したりしてしまうからです。

そういった状況に陥らないよう、睡眠のとり方を工夫して睡眠負債を返済し、改善に努めましょう。

関連記事:昼と夜で変わる仮眠のとり方

平日のランチタイムの昼寝で返済

毎日2時間ずつ増えていく睡眠負債を週末の2日間で返済することで改善するのは難しいものです。
平日にこまめに返済することも考えましょう。

効果的なのがランチタイム後。
よくランチを食べた後に眠くなりますよね?

この眠気は、お腹がいっぱいになったせいと考える方が多いようですが、実は身体のリズムによるもの。
眠くなるリズムが刻まれているのです。

このタイミングを利用するのがおすすめ。
お昼を食べた後、30分以内で昼寝をすることで睡眠負債を返済し、改善していきます。

昼寝の前にカフェインが入った飲み物、コーヒーなどを飲んでおくと、ちょうど目覚めたころにカフェインの効果が出てくるため、午後の仕事をスッキリした気分で始められます。

溜まってしまった睡眠負債は、こまめに返済することで改善し、健康リスクを軽減することができます。

関連記事:正しい昼寝の時間と得られる効果

最近話題の睡眠負債についてまとめ

健康志向が上昇するなか、健康の維持増進のために睡眠が深く関わっていることがわかり始めました。
そんな警鐘に満ちた言葉が睡眠負債です。

睡眠負債は多ければ多いほど、健康へのリスクも高まります。
睡眠負債の予防から、睡眠負債がもたらす症状、返済して改善する方法について、まとめておきましょう。

  • 健康の維持増進には、食生活・運動・睡眠を良好に保つ必要がある
  • 睡眠不足は、日々の生活に支障がなくても負債として溜まり、健康リスクを高める
  • 睡眠負債は、予防するのが一番
  • 睡眠負債を予防するには、自分に必要な睡眠時間を知っておくのは大切
  • 睡眠負債は、生活習慣病や肥満、うつなど心身の健康悪化の症状をもたらす
  • 睡眠負債は、返済することで改善可能
  • 睡眠負債を返済し改善するには、休日の寝だめが大事だが、眠り方に気をつける必要がある
  • 睡眠負債を返済して改善するために、休日に2時間以内で寝坊するのは有効である
  • 睡眠負債を返済して改善するために、休日に一度起床したのち、15時までの間に昼寝をするのは有効である
  • 睡眠負債を返済して改善するためには、休日のみならず、平日にも工夫して仮眠をとることが必要
  • 睡眠負債を返済して改善するために、平日のランチタイムに15~20分くらいの昼寝をするのは有効である
  • 睡眠負債を返済して改善するために昼間仮眠をとるときは、コーヒーなどカフェインが入った飲み物をあらかじめ飲んでおくとスッキリ起きられる