いつの時代でも嗜好品として、愛する人が多い「お酒」と「タバコ」。
お酒を飲むことで、気分が高揚して、コミュニケーションがはずんだり、喫煙所で普段、あまり話さない人と話す機会があったり…
「飲みニケーション」や「タバコミュニケーション」という言葉があるように、人付き合いにもお酒やタバコを利用する人も多いです。
また、美味しいお酒を飲んだり、タバコを吸うことで、ストレス発散やリラックスする人も多いでしょう。
しかし、そんな素晴らしい面を持つお酒やタバコは、体に有害であることが残念です。
今回はお酒とタバコが健康に悪いだけじゃなく、睡眠にもどう影響するのかを、お話ししていきます。
お酒とタバコがなぜ睡眠の質を下げるのか?
お酒を飲むと、眠気が出るから、寝酒は良い! タバコを吸うと、リラックスできるから睡眠に良い!
このように誤解されていて、自然と睡眠の質を下げてはいませんか?
お酒とタバコは睡眠の質を下げ、睡眠時間をしっかり取っていても、睡眠の効果や恩恵は受けられず、かえって睡眠不足を招く原因にもなります。
睡眠不足による悪影響は、すぐに体に現れることも少ないので軽視されがちですが、あなたの健康リスクを確実に上げていきます。
2017年の流行語大賞に睡眠不足の悪影響が溜まっていく、「睡眠負債」がノミネートされるなど、睡眠不足による悪影響が近年は問題になっています。
ではなぜ、お酒飲んだり、タバコを吸うと、睡眠の質が下がるのでしょうか?
その理由は、お酒に含まれる「アルコール」と、タバコに含まれる「ニコチン」が関係しています。
後で、詳しくお話ししますが、アルコールとニコチンは、睡眠の質を下げ、不眠などの睡眠障害や睡眠不足の原因となります。
自分が睡眠に良かれと思っていた寝酒や寝タバコ。
いつもの習慣でやっていた、睡眠前の晩酌、寝る前の一服。
これらによって、睡眠不足や睡眠障害を招いてしまっては大変です。
健康面を考えるのであれば、禁酒・禁煙が望ましいと思いますが、中々難しいとのが現状です。
今後も、お酒とタバコとうまく付き合っていくためにも、睡眠への悪影響を知ることが重要です。
まずは、お酒と睡眠の関係についてからお話ししていきます。
関連記事:今話題の「睡眠負債」とはどんなもの?
お酒のアルコールがもたらす睡眠への悪影響
お酒を飲んだら眠くなって寝てしまった…
なんてこと、お酒を飲んだことがある人は、経験されたこと多いかと思います。
お酒を飲むとアルコールの効果により、リラックス状態になり、体温が低下することで、眠気が出ます。
ここだけ切り取ると、お酒を飲むと眠気が出るので、お酒は睡眠に良い!と思われる方も多いことでしょう。
しかし、アルコールは体内に入ってから、数時間後に睡眠の邪魔をする物質に変わるのです。
アルコールは体内に入ってから3~5時間後に、アルデヒドという有害物質に変わります。
このアルデヒドは、心拍数を高めたり、体温を上げてしまうので、睡眠が浅くなります。
睡眠が浅くなることで、夜中に目が覚めやすくなったり、疲労回復に必要な成長ホルモンが分泌されません。
そのため、結果的にお酒は睡眠の質を下げることになります。
次は、多少の量のお酒なら不眠に効くといわれている、寝酒(ナイトキャップ)の効果と、睡眠薬の代わりになるかについてお話しします。
寝酒は睡眠薬の代わりになるのか?
日本人の5人に1人が、不眠症や睡眠障害に悩まされているといわれている時代。
ストレスや不規則な生活習慣により、寝つきが悪かったり、朝方まで眠れない方も多いと思います。
そこで、睡眠薬は少し怖いからといって、睡眠薬の代わりに、寝酒を飲まれる方がとても多いです。
一時期、海外でもナイトキャップと呼ばれ、不眠の改善に寝酒をするのが流行りました。
日本でもいまだに寝酒を飲み、睡眠薬の代わりにしている方も多いのが現状です。
寝酒は睡眠薬の代わりになるのでしょうか?
残念なことに、お酒は睡眠薬の代わりにはなりませんし、「寝酒は量が少ないから大丈夫」などといった声を耳にするときがありますが、睡眠にとってお酒(寝酒)は、NGです。
寝酒を飲むことで、寝つきは確かに良くなりますが、アルコールがアルデヒドに変わることで、眠りが浅くなります。
眠りが浅くなると、中途覚醒といった、睡眠の途中で目が覚める症状が増えたり、深い睡眠に入れないことで、睡眠不足になってしまいます。
また、通常、睡眠中は自律神経は、休息モードの副交感神経が優位になります。
しかし、寝酒を飲んで睡眠をとることで、活動モードの交感神経が優位になり、体が休めなくなってしまいます。
そのため、睡眠時間は十分なはずなのに、疲れが残っていたり、朝起きた時にスッキリと目覚められなくなります。
寝酒は睡眠薬の代わりにはならないことがわかりました。
次は、寝酒を続けてしまうことで、睡眠以外にも与える悪影響を紹介します。
寝酒を続けることで招く恐怖
寝酒は睡眠の質を下げるだけではなく、あらゆる病気やアルコール依存症にかかりやすくなります。
ここでは、寝酒を続けることで、引き起こされる問題を紹介します。
寝酒によって引き起こされる問題
- お酒を飲まないと眠れない体になる
- アルコール依存症になりやすくなる
- 肝臓病になりやすくなる
- 脂肪肝やアルコール性肝炎などにより死亡リスクが高まる
お酒を飲むことで、肝臓に負担がかかることは皆さまご存知だと思いますが、寝酒も一緒です。
また、お酒を飲まないと睡眠できなくなるだけでは済まず、体が常にアルコールを求めるようになり、アルコール依存症にもなりやすくなります。
寝酒は睡眠薬の代わりにはなりません。
今現在、不眠や睡眠障害で悩んでいる方は、病院へ行き専門家に見てもらうのが一番です。
また、睡眠薬の使用もご自身で判断せず、医師や専門家に相談する方が良いでしょう。
タバコの有害物質ニコチンは睡眠に悪影響
仕事で一息つきたいとき、ストレスが溜まった時、タバコを吸って一服休憩。
日常生活やドラマ、映画のワンシーンでもよく見られる光景ですね。
喫煙者はタバコを吸うことで、ニコチンという物質を体に取り入れることで、リラックス効果や心地よさを得ることができます。
しかし、リラックス効果をもたらすニコチンは、有害物質であることと、睡眠の質を大きく下げたり、不眠の原因になることで知られています。
ニコチンには、リラックス効果がありますが、覚醒作用の強さが睡眠に悪影響をもたらします。
この覚醒作用の強さは、眠気覚ましの代表格である、コーヒーやエナジードリンクより強いといわれています。
そのためタバコを吸うことで、ニコチンの覚醒作用により、脳が興奮状態になるので、寝つきが悪くなり、不眠になります。
また、脳が興奮してしまうと、お酒と同様、眠りが浅くなり十分な睡眠時間を取ったとしても、疲労回復ができず、次の日に疲れが残ってしまいます。
タバコは健康にも睡眠にも、影響があることがわかります。
通称:ヤニ切れは睡眠中にも影響あり?タバコの怖い依存性
タバコに含まれるニコチンは、有害物質なので睡眠に悪いだけではなく、ガンや動脈硬化、心臓病などのリスクを高めることで知られています。
しかし、タバコに含まれる有害物質のニコチンの怖さはそれだけじゃなく、強い依存性にあります。
タバコを吸う人の脳は、血中のニコチンの濃度が減ることでニコチンを求めるようになります。
そのため、タバコを吸う人が会議や移動で長い間、タバコを吸えないとイライラしたりする、通称「ヤニ切れ」は、まさに脳がニコチンを求めていることなのです。
また、ヤニ切れは日中の活動しているときだけではなく、睡眠中にも起こるといわれています。
睡眠中に血中のニコチンの濃度が減ってしまうと、脳はニコチンを求めるために、目が覚めてしまいます。
その結果、またタバコを吸ってしまい、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなってしまう、悪循環を生むことになります。
タバコをやめたくてもやめられない…
もしかすると、タバコの一番の恐ろしさは、アルコールと一緒で依存性にあるともいえますね。
お酒とタバコは睡眠の質を下げることがわかったかと思います。
今現在、十分な睡眠がとれていない方や不眠などの症状にお悩実の方は、断酒・禁煙が一番望ましい改善策であるといえます。
関連記事:寝る前の一服が不眠の原因に?タバコと睡眠の関係とは
お酒とタバコの同時摂取は睡眠にとって最悪
お酒とタバコを一緒に嗜まれる方は多いと思います。
しかし、この組み合わせは睡眠にとって、最悪な組み合わせです。
お酒のアルコールも、タバコのニコチンを睡眠を浅くしたり、中途覚醒の原因になるからです。
特にお酒を飲みすぎて、アルコールの摂取量が増えると、タバコの本数も増えていくといわれています。
お酒を飲む量は無理せず、ほどほどにしましょう。
また、睡眠の質を高めたいのであれば、タバコとお酒の同時の摂取は控えましょう。
しかし、お酒もタバコも楽しみである!という人はやめうのは難しいと思います。
そこで次は、睡眠の質を大幅に下げない、お酒とタバコの嗜み方をご紹介します。
関連記事:不眠症改善にお酒と睡眠薬を同時に飲んだらどうなる?
睡眠の質を大幅に下げないお酒とタバコの楽しみ方
お酒とタバコが睡眠にとって悪影響なのは変わりません。
しかし、お酒とタバコが楽しみな人にとって、断酒・禁煙は難しいと思います。
睡眠の質を全く下げないというのは難しいですが、大幅に下げないお酒の飲み方、タバコの吸い方をご紹介します。
睡眠の質を大幅に下げないお酒の飲み方・タバコの吸い方
- 睡眠の2時間前までに飲酒と喫煙は終わりにする
- 寝酒や寝る前のタバコは絶対にやめる
- お酒を飲む量は無理をせずほどほどにする
- お酒を飲んですぐにベッドに入らない
- 次の日が早起きの日はお酒もタバコも控える
- お酒を飲むとタバコの本数が増えやすいのでほどほどにする
- お酒とタバコの同時摂取は控える
繰り返しますが、睡眠の質を高めたり、睡眠不足を防ぎたいのであれば、お酒もタバコもやめましょう。
それでも続けたい方は、お酒とタバコの同時摂取は、睡眠に悪影響がダブルパンチになるので気をつけましょう。
また、今現在、不眠など睡眠が満足にいっていない方は、睡眠障害になっている可能性があります。
睡眠障害は、近年、増加傾向にある病気で現代病ともいわれています。
症状がひどくなる前に、病院へ行ったり、自分の状態を把握することが重要です。
もし心当たりある方は、睡眠障害の症状が出ていないか、確認してみましょう。
関連記事:眠れなくてツライ不眠症の原因と予防・改善する方法
関連記事:今すぐ寝たい!夜眠れないときの対処法
お酒とタバコが与える睡眠への悪影響まとめ
今も昔も嗜好品として人気のあるお酒とタバコ。
この2つは大人の嗜みや、コミュニケーションツールとして重宝されています。
しかし、睡眠には悪影響であることがお分かりいただけたかと思います。
特にお酒とタバコの同時摂取は気をつけましょう。
また、寝る前には、絶対にお酒を飲んだり、タバコを吸うことはやめましょう。