睡眠は長さも重要ですが、それ以上にこだわりたいのは、その質です。
質が高ければ、睡眠の働きである、心身の疲労回復や脳の整理といったことがより効果的に行われるからです。
そのために大切なのは、寝る前に心身をリラックスモードに切り替え、深い睡眠がとれるように自分自身を導いてあげること。
睡眠環境を整えることも、その効果を得るための1つの方法です。
睡眠環境を整えると睡眠の質がアップ
睡眠の質には、睡眠に就く前の数時間の過ごし方から眠っている間の部屋の環境まで、さまざまなことが影響します。
例えば、夏の熱帯夜、エアコンのタイマーが切れたとたんに目が覚めてしまったという経験はたぶんどなたでもあると思いますが、それほど睡眠はデリケートなものなのです。
そこで今回は、睡眠の質を高めるための睡眠環境をチェック。
まずは、睡眠環境には、どんなものがあるかというところから確認してみましょう。
リラックスできる睡眠環境の条件とは?
私たちの身体は、基本的に夜、暗くなると眠くなるような仕組みになっています。
また、活動的な昼間は体温が高く、夜になると徐々に下がって眠気を催すようになります。
このように睡眠には、明るさや温度といった環境の影響も大きなものです。
心身をリラックスモードに導き、睡眠の質を上げるための睡眠環境には、どんな条件を整える必要があるのでしょうか。
睡眠の質を高める3つの条件
できれば睡眠をとる部屋と日常的に過ごす部屋は、分けたいところです。
眠るために寝室へ移動すること自体が睡眠モードへの切り替えにもなるからです。
また、寝室を分けることで睡眠をとるのに最適な環境が整えやすくなります。
特に照明や室温は、リラックスできる寝室を整える大切な条件ですから、睡眠を意識したものが選べることは寝室を分けるメリットになります。
これに加えて寝るときの服装や寝心地に影響する枕もまた、心身をリラックスさせたり、睡眠に就いている間、継続して深い睡眠を導くために大切な要素です。
睡眠の質を上げるための睡眠環境としてまず整えたいのは、温度、照明、寝具の3つの条件といえるでしょう。
睡眠環境を快適に保つ温度は?
四季のある日本では、季節によって大きな寒暖差があります。
特に夏と冬は、室温の調整が必要な季節です。
快適な睡眠環境を整えるために、季節によって異なる最適な室温をチェックしてみましょう。
夏と冬に快適な睡眠環境を整える室温
四季のなかでも春と秋は、昼夜ともに快適な季節。
適切な寝具を用意すれば、部屋の温度を調節しなくても快適な睡眠がとれます。
ここでは、温度の調節が欠かせない夏と冬について、快適な睡眠環境のための室温を紹介します。
夏に快適な室温の睡眠環境
温度と湿度における夏の理想的な睡眠環境
- 室温26℃以下
- 湿度50~60%
温度と湿度における理想的な睡眠環境を整えるために夏は、エアコンの冷房やドライ機能を賢く利用しましょう。
快適と感じる室温には、個人差があるので26~28℃を目安にするのがおすすめです。
扇風機も一緒に使うことで部屋の空気が循環し、より眠りやすい睡眠環境を整えることができます。
また、一晩中エアコンを点けっぱなしにすると冷えすぎる場合もあるので、タイマー機能の活用は必須です。
睡眠に就く前に部屋を十分に冷やしておくと、より快適な睡眠環境を整えることができます。
冬に快適な室温の睡眠環境
寒い冬は、寒さのせいで身体に力が入ってガチガチになることがよくあります。
そのため、睡眠に就くときは適度な室温のなか、心身をほぐしてリラックスすることが大切です。
とはいえ、だからといって一晩中暖房を点けっぱなしにするのはNGです。
温度と湿度における冬の理想的な睡眠環境
- 室温を14~21℃
- 湿度も50~60%
意外と低いんだなと思った方も少なからずいらっしゃると思いますが、布団のなかが最適な温度に保たれることが大切なので、これくらいでも快適な睡眠環境としては十分なのです。
また、暖房器具をフル稼働させるのではなく、冬はカーテンを厚いものに替えて室内の熱を逃がさないようにするといった工夫をすることでリラックスできる睡眠環境が整えやすくなります。
暖房もタイマーを使って切れるように設定するとともに、朝、起きる時刻の前から部屋を暖め始めると起きやすくなります。
スムーズな目覚めもリラックスできる睡眠環境を整えることで得られる効果の1つです。
乾燥の季節でもある冬は、睡眠時も加湿器などが必要な日も少なくありません。
湿度を保つことで喉のケアにもなり、風邪やインフルエンザなどのウイルスの侵入を防ぐ役目も果たします。
関連記事:快適睡眠を導く寝室の理想の温度
布団内の温度も快眠モードに
快眠を導く睡眠環境として布団内の温度も忘れてはならない条件の1つになります。
夏は、好みに個人差がありますが室温が25~28℃以上であればタオルケットなどが1枚あれば十分です。
しかし、他の季節はそうはいきません。
快適な睡眠のための布団内の温度の目安は、33℃前後です。
良い睡眠環境のための照明とは?
夜、快眠を導く環境として、照明の問題があります。
真っ暗じゃないと眠れないという人もいれば、豆電球くらいはついてないと眠れないという方もいます。
実際のところ、質の高い睡眠のためのリラックスできる睡眠環境としてはどうなのでしょうか。
照明の目安を知ることで、適切な睡眠環境を考えてみます。
さまざまな場所の明るさの目安
- 太陽光……32,000~100,000ルクス
- オフィス……750~1,500ルクス
- コンビニエンスストア……2,500ルクス
- リビング……500ルクス(調光可能照明が好ましい)
- リビング(団らん時)……150~300ルクス
- 書斎……500~750ルクス
- 寝室……500ルクス(調光可能照明が好ましい)
- 豆電球……10ルクス
- ろうそく……10~15ルクス
- 月明かり……0.5~1ルクス
リビングや寝室は、調光可能な照明を使うことで時間帯に応じて明るさを調整し、夜は睡眠に入る準備の妨げにならない明るさを利用します。
リラックスできる寝室の照明
夜、眠くなる理由の1つに暗くなってから分泌される脳内物質メラトニンがあります。
メラトニンは、別名睡眠ホルモンとも呼ばれ、暗くなるにつれて分泌量が増え、眠気を催します。
ところが、メラトニンが分泌される時間になっても煌々とした照明が点いていると、メラトニンの分泌量が減ってしまいます。
具体的な明るさで言えば、500ルクス以上で影響が出ることがわかっています。
また、照明が点いた環境で睡眠をとった場合、私たちの脳は照明の明るさを感じているため、睡眠の質が下がってしまいます。
それは、例え豆電球の10ルクス程度の小さな明かりでも同様です。
睡眠中の脳に10ルクスの明るさは、意外と存在感があるのです。
真っ暗では夜中に目が覚めたときに不安だという方は、直接明かりが目に入らない場所に(例えばベッドより低い位置の足元あたり)1~2ルクス程度の常夜灯を用意したり、人感センサーライトなどを用意しておくと良いでしょう。
夜中に目覚めたときの照明
夜中に目が覚めて、トイレに行くときなど、明るい照明をつけてしまうと一気に目が覚めてしまうことがあります。
これでは、せっかくのリラックス状態も台無しです。
夜中に行くことも考えて、廊下や洗面所、トイレは75~150ルクス程度の照明を用意しておくのが良いでしょう。
夜中のトイレは、不眠症のきっかけになることもあります。
一旦目が覚めてしまった場合でも、継続的に睡眠がとれるような照明を用意することが、快眠を呼び込む睡眠環境を整えることといえます。
熟睡に必須!寝具も良い睡眠環境の条件に
直接肌に触れる服装や、身体を支える枕はリラックスのための睡眠環境としては、外せない存在です。
熟睡度に影響のある枕
私たちの身体のなかで一番重い頭を寝ているときに乗せているのが枕です。
ところが、枕は頭を乗せるものではなく、首を支えるものという考え方です。
寝姿勢として良いと言われるのは、まっすぐに立った姿勢のまま仰向けになった状態。
背中を布団に着けると、頭が少し浮いた状態になるので、その差が枕の高さとなって、支えているのです。
枕の高さの目安
- 女性……2.5~3cm
- 男性……3~5cm
枕の高さが合っていないと肩こりや首こりが起こります。
また、そういう状態では身体がリラックスできず、睡眠の質も下がるばかり。
質の良い睡眠のためには枕などの寝具も自分の体に合ったものを整えるのが重要なポイントとなります。
寝返りしやすいパジャマでリラックス
眠るときの服装に無頓着な方は、意外と多いものです。
ですが、何を着て睡眠に就くかは、その睡眠の質にも関わる重要なポイントです。
睡眠中は、たくさんの汗をかくため、汗を吸収する素材に加え、寝返りを打つので、動きやすさも求められています。
この条件にぴったりなのが、天然素材で作られたパジャマです。
綿やシルクなど吸湿性に優れるとともに放湿性もあることで眠っている間を快適に過ごすことができます。
また一晩に20回以上といわれる寝返りは、身体を動かすことでコリをほぐしたり、布団内の温度調節を担っています。
まさにリラックスするのに欠かせない要素です。
パジャマは、寝るときの動きなども考えて作られているためゆったり動きやすくできています。
また、布地の厚さも適度なので動きを妨げることなく、保温性なども発揮します。
パジャマは、睡眠専用のユニフォームのようなもの。
まさに快眠をもたらすのに欠かせない要素なのです。
関連記事:睡眠の質を高めたいなら枕を変えよう
関連記事:パジャマが良い?寝るときの服装で変わる睡眠の質
リラックスできる睡眠環境を整えるまとめ
睡眠中に行われるさまざまな働き。
この働きをより効率的にするには、睡眠の長さを大切にしつつ、睡眠の質を上げることがポイントです。
そのためには、深い睡眠がとれるように睡眠環境を整えることが大切ということがわかりました。
最後にもう一度、どのような睡眠環境を整えると良いのか、大切なポイントを振り返りましょう。
- 睡眠環境を整えるために外せない3つの条件は温度・照明・寝具
- 夏の室温は26℃~、湿度は50%が快適
- 冬の室温は14~21℃、湿度は50~60%が快適
- 夏以外は、布団のなかを33℃に保てる布団を揃える
- 睡眠中でも脳は照明の明るさを感じている
- 寝室の照明は調光可能なもので最大500ルクスを用意し、時間帯に合わせて明るさを調節して使用するのが良い
- 小さな豆電球でも10ルクスはあり、睡眠の妨げになる
- メラトニンは、夜でも照明の明るさが500ルクス異常になると分泌量が減る
- 枕の高さは、女性2.5~3cm、男性3~5cmが最適
- 寝るときの服装は、天然素材でできたパジャマが最適