大学生になると親元を離れて生活する人がいたり、授業を自分で選択したり、取り巻く環境が一気に自由な空気に変わります。
深夜のバイトも解禁になって、昼間は学校、夜はバイトといった生活を始める人も少なくありません。
その管理はすべて自分。
さて、「あれもこれもちゃんとやろう、できるはず」と、強い意志を持って始めたはずの新生活。
それなのに、不規則な生活に振り回されている感じがして……。
気がつけば授業では居眠り、バイトではミスばかり、両立してるというより、どっちも中途半端!みたいな。
そのうえ、いつでも眠いのにいざ眠ろうと思うと眠りたいのに眠れないといった不眠症の症状が表れている場合も。
これって大丈夫?
大学生の不眠症など眠れない理由を探ります。
不規則でも大丈夫?大学生の睡眠
毎朝決まった時間に学校が始まっていた高校生とは違い、その日によって授業の始まる時間が違う大学生。
高校生まではできなかった22時以降のバイトにも入れるし、朝が遅くても大丈夫な日は、深夜にバイトをして効率的に稼ごうとか、そんなことを考える人が多いのは当然ですね。
となると、毎日起床時間も就寝時間も違って、生活は不規則になりがち。
それでも問題がなければいいのですが、起床や就寝時間を毎日大幅に変えるのは、人間の機能的に難しいもの。
しわ寄せは、睡眠問題として身体に表れ、眠れない入眠困難や夜中に何度も目が覚める中途覚醒、熟睡感のなさ、昼間の強烈な眠気といった不眠症の症状を招きます。
こうした睡眠障害は深刻な病気を発症するきっかけになることも多いので注意が必要です。
自由な生活を得た大学生が陥りがちな健康リスクは、睡眠問題だったのです。
年齢によって違う必要な睡眠時間
1日の大半を寝て過ごした赤ちゃん時代から成長するにつれて徐々に減っていく睡眠時間。
私たちの身体は、成長に合わせて必要な睡眠時間が変わります。
NPO法人 アメリカ睡眠財団の公式サイトには、実際に必要な睡眠時間の結果分析が掲載されています。
大人になるにつれ、必要な睡眠時間はどんどん減っていき、老年期に最も少なくなります。
年齢別のベストな睡眠時間
- 0~3か月:14~17時間
- 4~11か月:12~15時間
- 1~2歳:11~14時間
- 3~5歳:10~13時間
- 6~13歳:9~11時間
- 14~17歳:8~10時間
- 18~25歳:7~9時間
- 26~64歳:7~9時間
- 65歳以上:7~8時間
大学生は、この中のヤングアダルトと呼ばれる世代。
7~9時間の睡眠時間が必要とされ、最低必要時間は6時間とされています。
関連記事:年代で変わる?最適な睡眠時間は何時間?
大学生年代の睡眠の特徴
身体自体が大きくなっていく、いわゆる成長期の年齢層は、睡眠中に最も分泌される成長ホルモンの影響が一番ある時期です。
ですから睡眠時間もたっぷりとるよう、身体が機能しています。
大学生年代は、こうした成長期の年齢層からは抜けたところ。
必要な睡眠時間が減ったところで安定します。
しかも体力もあるのがこの年代。
不規則な生活でも無理が利いてしまい、多くの人が必要最低時間、あるいはその時間を下回る睡眠時間しか取れていないようです。
私自身も大学生のころを思い出すと、しっかりと睡眠をしていた日は少なかったです。
特に大学生といったら、学校生活はもちろんですが、バイトや部活、サークル活動など、時間がある分、動いていた時間も多かったです。
また、大学進学と同時に、一人暮らしを始める人も多いですよね?
慣れない一人暮らしや生活環境により、知らず知らずストレスが溜まっていき、眠れない夜を過ごす方も多いようです。
その結果、大学生は慢性的な睡眠不足を抱え、いつでも眠気に悩まされていたリ、逆に眠れない不眠症に陥る人が少なくないのです。
不規則な生活から眠れない不眠症へ
私たちの睡眠は体内時計によって調整されています。
朝、太陽の光を浴びることでその体内時計がリセットされ、動き始めます。
そして、体内時計がスタートした14~16時間後、今度は眠気が訪れます。
こうして私たちの身体は、だいたい同じ時間に起床し、就寝するのです。
無理のない生活とは、規則正しくなるようになっているというわけです。
しかし、今日は早起き、そのままオールでバイトに入って朝方眠って、翌日は午後から授業といったスケジュールが当たり前になっているとしたら?
体内時計はどうなってしまうのでしょうか?
体内時計は、眠ったり起きたりを調節するために、生体機能を総動員する力があります。
さまざまな働きのあるホルモンの分泌を出したり止めたり、自律神経をコントロールしたり。
こうした生体機能のすべてに乱れが生じてしまいます。
そうなると1日中眠気を感じたり、眠ろうとした時間に眠れない状況に陥ったり。
不規則な生活は、簡単に眠れない不眠症などの睡眠障害を呼び込んでしまう恐れがあるのです。
大学生に多い眠れない入眠困難
日本人の5人に1人は睡眠についての問題を抱えているといわれています。
不眠症といわれる睡眠障害のなかでも入眠困難は、15歳~25歳にかけて急増するという研究があります。
15歳といえば高校生になる頃。
趣味や勉強が忙しくなる時期でもあり、夜更かしをする傾向にあります。
こうした状況の人たちが大学に入ると時間が自由に使えるようになって生活は一気に不規則になってしまいます。
その結果、眠れない不眠症などの睡眠障害に陥ってしまうことが多いのです。
入眠困難者は、布団に入ると眠ろうとする意識が強く、不眠を強く意識してしまう特徴があります。
焦れば焦るほど眠れないといった状況が続き、精神的なストレスも大きくなっていくのです。
心身の健康を損ねる不眠症
眠れない不眠症などの睡眠障害は、長く続けば睡眠負債が増大する原因になります。
また、生体機能の働きに反する行動やバランスが崩れた自律神経は心身の健康に大きな影響を与えます。
疲れが取れないといった不調やメンタル面ではうつなどを発症してしまう場合もあります。
睡眠は、心身の健康のカギを握る大切な生態活動なのです。
関連記事:うつ病と不眠症のきってもきれない深い関係
不眠症を改善するには
自分でできる対策としては、生活習慣を整えることが何よりです。
特に起きる時間は、なるべく同じ時間に揃えるのが大切です。
また、深夜のバイトを入れた日も、朝、太陽が昇ったら一度起床し太陽の光を浴びてから2度寝は2時間にとどめるといった工夫をして、昼間寝すぎず、夜眠れない状況を作らないようにします。
どうしても眠い場合は、さらにランチの後に20分以内の仮眠をとるなど、睡眠負債をこまめに返済します。
生活習慣は、一度乱れてしまうと、整えるのは難しいものです。
しかし、乱れた生活習慣のまま過ごすことの健康リスクは、それ以上に大きいものです。
せっかくの大学生活、時間を忘れて楽しむ日があっても、しっかり睡眠を管理して、健康的に過ごしたいものです。
何をしてもダメな場合や、症状が重い方は、睡眠障害になっている可能性もあります。
眠れない不眠症などの睡眠障害は、専門医へ相談することがおすすめです。
良い睡眠で、良い大学生活を!
不規則な生活を送る大学生の睡眠まとめ
授業の選択もバイトの時間も、すべてが自分の管理下となる大学生。
ついつい生活習慣が不規則になって、眠れない不眠症などの睡眠障害を抱えてしまう人も少なくありません。
特に25歳までは入眠困難といった睡眠障害を抱えやすい年代です。
睡眠問題は、その後の人生にも大きく影響を与えるものなので、たかが睡眠とあなどらずに付き合っていくのがおすすめです。
- 大学生年代に必要な睡眠時間は、7~9時間
- 大学生年代が最低限必要としている睡眠時間は6時間
- 日本人の5人に1人が眠れない不眠症など、睡眠の問題を抱えている
- 15歳~25歳は睡眠障害の1つ、入眠困難が急増する年代
- 入眠困難が急増する理由が不規則な生活習慣
- 不眠症などの睡眠障害は、心身のさらなる健康問題につながるので早く解消するのが良い
- 睡眠問題の解消には生活習慣を整えることは欠かせない対策の1つ