十分な睡眠をとっていても、食事の後は誰でも眠くなるものです。
しかし、会議中など緊張感のある場面や仕事中にもかかわらず、急激な睡魔に襲われて「起きているのが困難」だったり、「寝てしまう」などの症状はありませんか?
もしかするとその症状「ナルコレプシー」という睡眠障害の可能性があります。
今回はいきなり寝てしまう病気「ナルコレプシー」の症状や原因についてお話ししていきます。
ナルコレプシーとは?
ナルコレプシーとは過眠症の一つで、昼間に「急激な眠気に襲われ寝てしまう」「昼間に起きていられない」など、生活に支障をきたす睡眠障害のことです。
本人の意思とは関係なく、緊張する場面でも突然眠ってしまったり、学校や会社で寝てしまうことが原因で、「居眠り」「サボり」など誤解されてしまうこともあります。
そんなナルコレプシーは、日本人の約600人に1人が発症し、症状に悩まされているといわれています。
特に10代~20代のうちに発症することが多く、中高生に多くみられる傾向があります。
こういった症状が一か月以上続き、頻繁に起きているようですと、ナルコレプシーの可能性があります。
また、過眠症はナルコレプシーだけではなく、大きく分けて3種類あります。
ナルコレプシーだけじゃない過眠症
「睡眠障害」という大きなカテゴリーの中の一つに、「過眠症」があります。
過眠症とは、ただ睡眠時間が長いことを指すのではなく、「いくら睡眠しても満足感が得られない」「昼間なのに起きてられない」などが原因で、生活に支障をきたすことをいいます。
この過眠症は大きく分けて3種類あります。
- ナルコレプシー
- 突発性過眠症
- 反復性過眠症
今回はナルコレプシーに関してお話ししているので、他の2つの症状の説明は割愛させていただきます。
もし、過眠症の症状に悩まされていたり、疑いがある方は下記の記事をご覧ください。
次はナルコレプシーの症状についてご紹介します。
関連記事:寝ても寝ても寝足りない過眠症の原因と改善
ナルコレプシーの症状とタイプ
ナルコレプシーの症状には4タイプの症状があるといわれてます。
当てはまる症状がある方は、ナルコレプシーの可能性が高いです。
ナルコレプシーの症状①睡眠発作
緊張感を要する会議中やテスト中でも突然寝てしまったり、自分の意思がないのに知らない間に寝てしまっている症状はありませんか?
昼間の耐え難い眠気や、意思がないのに睡眠してしまっている場合は、ナルコレプシーの症状「睡眠発作」かもしれません。
睡眠発作の症状の特徴として、突然寝てしまうものの、20~30分後には目が覚め、頭がすっきりします。
その後はまた、激しい眠気に襲われ、居眠りなどを繰り返してしまいます。
睡眠発作の症状が原因で、授業中や仕事中に寝てしまうと、周囲からは良い目では見られず、社会生活に大きな支障が出てしまいます。
また、運転中や機会を用いた作業中に睡眠発作が出てしまうと、想像するだけでも怖いですが、大きな事故の原因になってしまいます。
ナルコレプシーの症状②睡眠麻痺
「睡眠麻痺」とは一般的によく言われる「金縛り」のことです。
ナルコレプシーになっている人はよく金縛りに合うともいわれています。
通常、私たちはノンレム睡眠から眠りに入り、約90分でレム睡眠に入ります。
しかし、ナルコレプシーになっている方は、レム睡眠から眠りに入るため、睡眠麻痺に合いやすいのです。
ナルコレプシーの症状③入眠時幻覚
睡眠に入ってうとうとしているときに、自分では現実か夢かわからないような、リアリティーのある夢を見る症状です。
幻覚を見たり、幻聴が聞こえたりで金縛りに似たような症状が起き、パニックに陥ってしまいます。
ナルコレプシーの症状④情動性脱力発作(カタプレキシー)
怒る・笑う・喜ぶ・泣くなどの感情が高ぶった時に、全身や体の一部が瞬間的に脱力してしまう症状です。
この症状の特徴は、全身の力が抜けてしまうため、地面に座り込んでしまったり、呂律が回らなくなってしまいます。
症状が出ている間は意識があるといわれています。
これらの症状がナルコレプシーによる代表的な症状です。
ナルコレプシーになってしまうと、社会生活に支障をきたす恐れがありますし、大きな事故の原因になったら危険ですよね。
想像するだけでも怖い、ナルコレプシーの症状。
もし、現在ナルコレプシーの症状が出ている方は、早急な改善および治療が必要です。
次はナルコレプシーの代表的な原因をお話しします。
ナルコレプシーの原因
ナルコレプシーの症状は世界でも日本人に比較的多くみられ、様々な方が研究していますが、いまだ原因はわからないことが多いです。
しかし、近年はナルコレプシーの原因が少しずつ解明され、わかってきたこともあります。
今回は現状で、ナルコレプシーの原因だといわれている3つの原因をお話しします。
ナルコレプシーの原因①遺伝子によるもの
ナルコレプシーの発症の原因には、遺伝子的なものが原因だといわれています。
アンルコレプシーの症状がある方は同じタイプの「ヒト白血球抗原(HLA)」を持っているといわれています。
ヒト白血球抗原(HLA)とは、白血球の血液型のようなものです。
しかし、ナルコレプシーを発症しやすいといわれるタイプのヒト白血球抗原を持つ人が、全員発症するわけではありません。
ナルコレプシーの原因②睡眠周期の異常な乱れ
ナルコレプシーの原因として、睡眠周期の異常な乱れも原因だといわれています。
睡眠周期とは「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」のリズムのことです。
私たちは通常、睡眠に入ると、ノンレム睡眠→レム睡眠といった流れで寝ています。
しかし、ナルコレプシーの症状が出ている方は、レム睡眠から睡眠が始まるなど、通常では考えられないタイミングで、レム睡眠が出現します。
睡眠周期が乱れることで、「睡眠」と「覚醒」の機能が正常に働かず、昼間の強い眠気や居眠りの原因になっているといわれています。
このような睡眠周期の乱れは、ストレスや不規則な生活習慣、次にお話しするオレキシンの不足が原因だといわれています。
関連記事:睡眠のメカニズム「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」とは?
ナルコレプシーの原因③オレキシンの不足
「オレキシン」と呼ばれる脳内物質の不足が、ナルコレプシーの原因になる可能性があるともいわれています。
オレキシンが不足してしまうと、睡眠リズムが乱れやすくなったり、脱力発作が起きやすくなります。
睡眠リズムが乱れることで、睡眠がレム睡眠から始まるなど、ナルコレプシーの発症の原因となるといわれています。
しかし、「オレキシンの不足」が、確実にナルコレプシーの原因ということは、残念ながら未だわかってはいません。
実は、ナルコレプシーの原因は、いまだによくわからないことも多いのが現状です。
ただ、ナルコレプシーをはじめ過眠症や睡眠障害の原因は、「不規則な生活習慣」や「起床・就寝のリズムの乱れ」が多いといわれています。
もし心当たりがある方は、毎日の睡眠から見直していきましょう。
ナルコレプシーの症状と原因まとめ
いきなり寝てしまう病気「ナルコレプシー」についてお話ししていきましたが、いかがでしたでしょうか。
自分が知らないうちに眠ってしまう症状というのは、社会生活を送る上で、大きな支障をもたらす原因になってしまいます。
特に、運転中や機械の作業中に症状が出てしまうと、最悪、命の危険にも関わってしまいます。
「睡眠」の問題は、昔から少し軽視されがちですが、大きなトラブルに巻き込まれないうちにも、医療機関で適切な処置を受けましょう。